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モビリティ・ハブで移動を便利に/デマンド交通停留所、シェアサイクルなどを集約して乗換しやすく
近年、住民の移動の利便性を高める取り組みとして、注目されているのが、「モビリティ・ハブ」だ。鉄道や路線バスといった公共交通に加え、乗り合いタクシー、シェアサイクル、電動キックスケーターなど、多様な移動手段(モビリティ)を1カ所に集約し、円滑な乗り換えができるようにした交通結節点(ハブ)を指す。先月まで導入に向けた実証実験を行っていた川崎市を訪ねた。
■川崎市、公園で実証実験
川崎市高津区に位置し、最寄りの鉄道駅から2キロメートルほど離れた住宅街にある橘公園。サッカーコート2面分を超える1・75ヘクタールの敷地には、カフェなどもあり、市民の憩いの場になっている。2月下旬、近くの市営バス停から園内に入ると、シェアサイクル用の電動自転車と電動キックスケーターが数多く置かれていた。
これらはスマートフォンを使って気軽に借りたり、返却できる。自転車などの傍らには市営バスの運行状況や到着予定時間を確認できる電子看板が設置されており、乗り換えを想定していることがうかがわれた。
これは川崎市と民間企業の協業で、昨年11月25日から今年2月28日まで行われたモビリティ・ハブの実証実験の光景だ。地域のニーズに応じた交通手段を公園に集約して、市営バスを降りた先の目的地への移動を便利にしている【図参照】。
これまで同公園には、電動シェアサイクルが13台のみ設置されていたが、今回の実験に際し、台数を20台に増台。新たに電動キックスケーターや市内で運行されているデマンド交通(予約型乗り合いタクシー)の停留所を設置し、駐車場の一角にはカーシェア用の車も置いた。期間中はデマンド交通の登録会や次世代移動用小型車の試乗会などイベントも開催。多くの人々でにぎわった。
■「複数の交通手段があると助かる」
晴れた日にはシェアサイクルの半分以上が利用され、「駅まで遠いので複数の交通手段があると助かる」「いろいろな交通手段が増えたら、うれしい」といった喜びや期待の声も聞かれた。
実証実験の背景には、運転手不足による市営バスの減便がある。1日当たりの便数は市全域で2018年の1万2400便から、24年には9900便まで2割減少している。そうした中で、移動の充実を図ろうと企画された。公明党の市議団も後押ししてきた。市担当者は「得られたデータを分析し、子どもから高齢者まで、誰もが移動しやすい街づくりをめざし、今後も実証実験を進めていきたい」と語る。
■LRTとも連携/宇都宮市
川崎市以外の自治体でも、地域住民が円滑に移動できるようにしようと、モビリティ・ハブを導入する取り組みが進む。
宇都宮市では次世代型路面電車(LRT)の停留場や路線バスの停留所に隣接する商業施設など2カ所において、シェアサイクル、デマンドタクシーなどを集約。スムーズな乗り換えを可能にするだけでなく、待ち時間に買い物やお茶を楽しめるようにしている。
モビリティ・ハブを導入を進める国土交通省の担当者は、都市部だけでなく、中山間地域でも実証実験を行ったことを踏まえ、「自治体ごとに状況や課題が異なるため、それぞれの実情に合わせて、都市政策と地域政策の両面から支援していきたい」と話す。
■地方議員通じ導入後押し/公明党国土交通部会長 三浦信祐参院議員
モビリティ・ハブができれば、そこに人が集まり、コミュニティーの入り口ができる。高齢者が外に出て歩くきっかけにもなるので、健康寿命延伸にもつながると期待される。地域事情に即した体制構築が重要だ。
今後、党として、運転手不足に対応した自動運転などの最新技術の開発や導入を促進するとともに、地方議員を通じて自治体とも連携し、各地で重ねた経験を集約しながら、地域住民に喜ばれるモビリティ・ハブの導入を進めていく決意だ。