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第27回参院選の結果分析

公明新聞2025年7月23日付 3面

 20日に投開票された第27回参議院議員選挙で、公明党は兵庫、福岡、大阪、東京の4選挙区で勝利し、比例区では4人当選、計8議席を獲得したが、改選14議席に届かなかった。自由民主党も大幅な議席減で、与党として計47議席にとどまり、非改選と合わせても全体の過半数(125議席)を維持できなかった。

■与党過半数割れ。国民、参政が躍進。「多党化の時代」迎える

 物価高対策が最大の争点となった今回の参院選は、与党に国民の厳しい審判が下される結果となった。

 公明党は兵庫、福岡、大阪、東京の4選挙区で議席を獲得したものの、埼玉、神奈川、愛知で惜敗。比例区では4議席にとどまり、合計8議席で改選14議席を割り込んだ。非改選議席(13議席)と合わせた新勢力は21議席となった。

 連立を組む自民党が確保した39議席は過去3番目に少ない。自公で計47議席にとどまり、非改選と合わせて全体の過半数(125議席)を維持できず、参院でも少数与党となった。

 野党第1党の立憲民主党は、横ばいの22議席にとどまった。

 国民民主党は選挙区10、比例7の計17議席を獲得。改選4議席から4倍超の増加となった。比例区の得票も野党最多だった。

 前回参院選で1議席を得た参政党は14議席に躍進。22日付の読売新聞は比例選の出口調査を踏まえ、「石破内閣を支持しないと答えた人のうち18%が参政に投票した。国民民主党(16%)、立憲民主党(14%)を抑え、政権批判票の最大の受け皿となった」と報じた。

 改選6議席だった日本維新の会は1議席増えたが、関西以外では苦戦を強いられた。日本共産党は3議席で改選7議席を下回った。比例区でれいわ新選組が3議席、日本保守党は2議席、社会民主党は1議席を獲得した。

 22日付の毎日新聞は「社説」で「単独では政権を担えない政党が乱立する『多党化の時代』を本格的に迎えた」と指摘している。

 投票率は58・51%で、2022年の前回参院選の52・05%から6・46ポイント上昇。期日前投票者数は過去最多を更新した。

■(選挙区)兵庫、福岡など激戦を制す

 公明党は2016年から3回続いた7選挙区完勝はならなかった。国民民主党や参政党の勢いもあり、どの選挙区も終盤まで当選圏内入りが危ぶまれるかつてない厳しい戦いとなった。

 その中でも、兵庫選挙区(定数3)は無所属と自民党、日本維新の会が先行する中、現職の高橋光男氏が2位に食い込み逆転。福岡選挙区(定数3)は、現職の下野六太氏が執念の追い上げで国民新人を振り切って3位に食い込んだ。

 大阪選挙区(定数4)は現職の杉久武氏が4位で当選し伝統の議席を死守した。

 東京選挙区(定数6、併せて補欠選挙実施)は候補者32人という大混戦をはねのけ、新人の川村雄大氏が4位で当選した。

 埼玉選挙区(定数4)現職の矢倉克夫氏、神奈川選挙区(定数4)現職の佐々木さやか氏、愛知選挙区(定数4)現職の安江伸夫氏は次点となった。佐々木氏は公明が挑んだ7選挙区で唯一、前回比で得票増を達成した。同氏の57万1796票は、選挙区での全落選者で最多の得票。矢倉氏は2番目、安江氏は5番目に多い得票数で大善戦だった。

 一方、全国32の1人区は、自民党が前回22年の28勝から14勝と減らした。野党4党は17選挙区で候補者調整をし、自民と事実上の一騎打ちに持ち込み12選挙区で勝利した。

■(比例区)521万票で4議席

 比例区で公明党は、政党名と候補者名を合わせた得票総数で521万569票を獲得した。得票率は8・80%で、現職の平木大作氏、新人の佐々木雅文、司隆史、原田大二郎の計4人が当選。目標の7議席には届かなかった。

 自民党も得票数を減らし、12議席にとどまった。

 野党では日本維新の会、日本共産党、社会民主党などが得票数を減らした。これに対して国民民主党と参政党は、前回から大幅に得票を増やして議席増を果たした。比例票では立憲民主党を上回り、それぞれ野党第1、第2党の座に就いた。

 投票先が分散した点も今回の大きな特徴だ。

 22日付の日本経済新聞は「多党化進む」との見出しで得票率に注目。「07年は自民、民主と公明、共産の4党しか5%を上回っていなかった」とした上で、今回は「自民、国民民主、参政、立民、公明、維新、れいわ新選組、日本保守党の計8党が5%を上回った」と報じている。

■識者「自民支持層が国民、参政に」

 参院選の結果を識者はどうみているのか。中北浩爾・中央大学教授は「与党が改選ではるかに過半数を割り込み、参院全体でも過半数割れするというのは、有権者が与党に灸を据える判断をした結果と言える」(22日付「読売」)と論評する。

 また、国民民主と参政両党の大幅な議席増について、庄司克宏・慶応義塾大学名誉教授は「予想以上に伸びた背景に自民党支持層がある。物価問題など経済対策を心配する人は国民民主、外国人問題を心配する人は参政に投票した」(同「日経」)と分析。今井貴子・成蹊大学教授は「比例票をみると与党の大敗を招いた票は参政党や国民民主党といった保守系の政党に流れた」と指摘した上で、「既存政党を見限った有権者の支持が分散し、多党化が顕著になった」(同)との見方を示した。

 こうした多党化について、22日付の毎日新聞「社説」では「多党化状況で懸念されるのは、政治が混乱し、重要政策の遂行が滞ることだ」「衆参両院で過半数の勢力がなくなった今、野党各党が国政に負う責任は一層重くなる」と指摘している。