再審制度を見直す刑事訴訟法改正案を巡り、衆院法務委員会は9日、参考人質疑を実施した。参考人として意見陳述した、静岡県一家殺害事件で再審無罪が確定した袴田巌さんの姉ひで子さん、元裁判官の村山浩昭弁護士は、政府案の不備を指摘し、改善を訴えた。両氏の見解(要旨)は次の通り。 ■証拠は全部開示して/刑訴法に不備、冤罪被害救う改正に ■巌さんの姉・袴田ひで子さん 私の弟・巌は殺人犯、死刑囚として47年7カ月、拘置所に収監されていた。冤罪を訴え、弁護士や支援者と共に真実を求めて闘ってきた。幸い、2024年10月9日に再審無罪が確定して、今は私と暮らしている。(無罪確定まで)なぜこんなに長くかかったのか。再審法(刑訴法)に不備があるからだと思っている。 私は巌だけが助かればいいとは思っていない。冤罪で苦しんでいる方は大勢いる。今でも何十年も闘っている方がいる。辛い思いをして、今も刑務所の中にいる方がいる。そういう方たちも助けてもらいたい。 再審法を皆さんの力で改正してもらいたい。検察の抗告(再審開始決定に対する不服申し立て)について、そういうものがあるから長引いて、(事件発生から無罪確定まで)58年もかかった。 証拠開示があって、「巌が無罪になる証拠ばかりだ」ということで勢いづき、支援者の協力もあり、今の(無罪という)結果になっている。検察は証拠を隠していたのではないかと思う。いい証拠も悪い証拠も全部出して裁判をやってもらいたい。 長年の拘置所生活で、巌の生活は乱れ、後遺症は治らないと思うが、誰も恨むつもりはない。しかし、再審法は神様が作った法律ではない。法律を作った人間が、人間として法律を改正してもらいたい。 ■政府案、開示範囲狭まる ■元裁判官・村山浩昭氏 (政府の改正案では)裁判所による証拠提出命令で提出される証拠は、現状の裁判所による勧告の範囲よりも狭まる可能性があると懸念している。現在は、裁判所は「これだけ請求人が言っているのだから見せたらどうか」といった意味合いで勧告していた。今後、そのような運用が、このまま生かされるかというと、恐らく検察官は抵抗すると思う。今までと同じように証拠が出るのかというと、現実的な問題として出なくなる可能性が大いにある。 元裁判官の友人と話すと、政府案は「証拠開示がないことが致命的だ」という意見が圧倒的だ。現役の複数の裁判官からも、裁判官の裁量による証拠開示命令、もしくは証拠提出命令の権限を条文で明確に規定してほしいとの意見を聞いている。 裁判官としては、証拠を提出させる必要があると思った時に、「関連性」などの要件をかけられると提出命令を出しにくくなる。政府案の証拠提出命令制度では、「必要性」「相当性」といった要件が全て積極的に評価されないと提出命令を出してはいけないという立て付けになっており、ハードルが非常に高い。 提出命令については(検察が)即時抗告ができる点も問題だ。即時抗告審で「関連性が薄い」と判断され、提出命令を取り消されてしまうことが十分想定される。