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(識者の視点)衆院選後の日本政治/現場の小さな声受け止めて/笑下村塾代表、社会起業家 たかまつなな氏

公明新聞2026年2月22日付 1面

行政監視の目、重要

 衆院選では、多くの有権者が自民党政治に失望しつつ、女性リーダーの高市早苗氏に「古い政治を変えてくれそう」と期待を寄せた。簡潔かつ自分の言葉で話そうとする高市氏の姿勢は、多くの若者にとっても好印象だった。中道改革連合には、公明党出身の議員が参加したことで安全保障政策が現実的な路線となるなど、“政権交代が可能な野党の器”ができたと期待した。しかし、その存在意義が十分浸透できないまま終わった。

 衆院選後の朝日新聞の調査では、全体の6割が自民党が得た議席数が「多すぎる」と回答した。巨大与党への行政監視の重要性が高まっている。高市氏は周囲の意見を聞くというより、自分の意思で物事を決めている印象だ。その「突破力」は魅力的だが、そこからこぼれ落ちてしまう声もあるのではないか。「実行力」と多様な声への「目配り」の両立が難しいのではないか、と懸念している。

 選挙戦では「国家」や「国民」など大きな主語ばかり飛び交った。本当に大変な思いをしている現場の声や、それを支援するNPOなどソーシャルセクターの話をしっかり聞いている政党の姿が見えにくかった。そうした“小さな声”を聴き続けるのは中道の役割だと思う。ネット戦略ばかり注目されるが、そもそもの素材が良くなければ、いくら見せ方を変えても意味がない。ポピュリズムの風潮に流されない、愚直な取り組みを期待したい。

■若者ともっと対話を

 選挙権年齢の18歳以上への引き下げから10年たち、社会課題に関心がある若い世代は増えてきた。ただ日本財団の調査によると“自分の行動で国や社会を変えられる”と思う若者の割合は低い。まだ若者と政治の間には距離がある。

 政治家には、若者との対話を増やしてほしい。重要なのは、若者を「守るべき対象」と扱わず「社会を共につくる対等なパートナー」として信頼することだ。若者は子ども扱いを敏感に感じ取る。

 「若者政策は票にならない」と言われる。自民党内での優先順位は必ずしも高くない。中道が時間をかけても、地道に取り組んでいけば、有権者に届くし、その評価は高まっていくはずだ。

 政治家自らSNSで発信を高める努力も続けてほしい。得意な人に任せきりにせず、リベラル、保守を乗り越えて“敵”に見えるメディアにも積極的に出て、批判や炎上を恐れずに正論を伝える姿勢を貫くことが、政治への信頼回復につながるはずだ。

 1993年生まれ。18歳選挙権を機に「笑下村塾」を設立し、全国の学校で主権者教育を行う。