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エネルギー政策、公明党の考え/次世代型太陽電池、浮体式洋上風力など再エネ導入に国を挙げ支援/党対策本部長 赤羽一嘉副代表にインタビュー
■原発の新増設は認めず「依存しない社会」不変
国の中長期的なエネルギー政策の指針となる第7次「エネルギー基本計画(エネ基)」の改定案が昨年に発表されました。エネ基のポイントや、公明党が考えるエネルギー政策とは。党総合エネルギー対策本部の赤羽一嘉本部長(副代表)に聞きました。
--日本国内のエネルギー政策を取り巻く状況の変化は。
赤羽一嘉本部長 3年前の第6次エネ基の策定時と比べ、大きく異なります。ロシアによるウクライナ侵略や緊迫化する中東情勢が続く中、化石燃料の輸入に依存する日本のエネルギー安全保障の危機がますます顕在化しています。国際社会が協力して進める2050年に温室効果ガス排出量を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」実現への取り組みも必要性が増しています。
その上で、国内では、生成AI(人工知能)の登場に伴うデータセンターや半導体工場の稼働などによって電力需要の大幅増が見込まれ、脱炭素電源の確保が最重要課題になっています。
--大幅な電力需要増に対応するためのエネルギー政策は。
赤羽 まずは徹底した省エネの推進です。省エネの技術開発を進め、工場・事業所の省エネ設備更新や家庭向けの高効率給湯器、断熱窓の導入を支援します。
再生可能エネルギー(再エネ)の主力電源化、火力発電の脱炭素化、中長期的な課題として核融合の技術開発も重要な柱です。
--再エネを主力電源として最大限導入するためには。
赤羽 再エネ主力電源化の切り札は、ペロブスカイト太陽電池と洋上風力発電です【表参照】。
ペロブスカイト太陽電池は軽量で柔軟性があることから、建物の屋根や側面などにも設置可能で、国内での原料調達が可能です。公明党は他党に先駆けて、実装現場を視察し、研究開発や量産化を推進。政府に対しても「前例のない規模での大胆な設備投資支援や需要創出のための導入支援」を求めています。
洋上風力発電は、これまで採択された着床式洋上風力発電事業の完工を着実に進めるとともに、浮体式洋上風力発電事業の実用化を加速化させます。
水素などについては、国産への最大限の支援やサプライチェーン(供給網)の構築を進めるとともに、再エネ由来の水素・アンモニアの製造、利用も支援します。加えて、安定的な発電が期待できる地熱、水力、バイオマス発電の活用も重要だと考えています。
--現在の電源構成で7割近くを占める火力発電はどうなりますか。
赤羽 火力発電の脱炭素化を着実に進めるため、効率の悪い石炭火力は着実に発電量を減らし、高効率の石炭火力も水素やアンモニアの混焼・専焼などを加速させます。
再エネの主力電源化が実現するまでの間、必要な燃料の安定供給のため低炭素電源のLNG確保に全力を挙げます。
--第7次エネ基の原案では「原発が拡大していく」というニュースを見ましたが。
赤羽 新増設は認めておらず、電源構成における原発の割合は増えません。原発の再稼働については、東京電力福島第1原発事故の反省と教訓を踏まえ、法律に基づく原子力規制委員会の審査に合格し、地元の理解を得ることを大前提に再稼働を認めますが、運転期間終了後、速やかに廃炉とすることとしています。そのため、原発の依存度はおのずと低減します。
--政府は、原発を廃炉した後の建て替え場所を、電力事業者が所管する別の原子力発電所サイト(敷地)内でも認める方針を示していますが、公明党の主張と矛盾はしませんか。
赤羽 これは、半導体工場の稼働などによる電力需要増に対応するための特例的なケースです。「廃炉が前提」「原発の総基数は増えない」「地元住民の理解」を条件としており、繰り返しになりますが、電源構成における原発の割合は増えません。
よって、公明党がめざす「将来的に原発に依存しない社会」と矛盾するものではありません。