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(政治学習のために)公明党が合意形成の要
今夏の参院選の勝利をめざし、公明党はどう戦っていくのか。通常国会での取り組みとともに、西田実仁幹事長に聞きました。
■西田幹事長に聞く
■(与野党協議をリード)幅広い民意を反映する政治へ少数与党で大きな存在感示す
--与野党協議が活発な今国会で公明党が果たしている役割は。
具体的には①幅広い民意を反映した政治②小さな声を形にする政治--を進めていることです。
幅広い民意を反映した政治では「年収の壁」の引き上げや教育無償化が挙げられます。与党と国民民主党で協議した「年収の壁」については、自民党案よりも幅広い層に減税の効果が及ぶ制度設計を公明党が提案し与党案になりました。与党と日本維新の会で論議した教育無償化では、高校授業料の無償化に加え、公明党の主張により、教材費などを支援する「高校生等奨学給付金」を低中所得層に広げ、公立高校などへの支援も拡充されます。
さらに政治資金を厳しくチェックする第三者機関設置法案の骨子案を国民民主党と共にまとめました。政策をゆがめる企業・団体献金を許さない規制の強化も具体的に提案しています。
小さな声を形にした具体例としては、高額療養費の自己負担引き上げに“待った”をかけたことや、避難所運営などに介護といった福祉的な視点を盛り込んだ災害対策基本法等改正案などがあります。さらに、価格転嫁で中小企業の賃上げを促す下請法改正案が閣議決定されましたが、公明党は不当な取引価格の据え置き禁止とともに「下請け」という言葉に事業者が嫌な思いをしていることを踏まえて名称変更を提案し、「中小受託事業者」となりました。
--公明党はなぜ合意形成の要役となれるのか。
昨年の衆院選で少数与党になったことで、公明党が政権にいる重要性が増しています。公明党はどこまでも人間主義、中道の道を歩む政党であり、国民の命と暮らしを守るには何が最も重要かを基準に現場主義、漸進主義で、他党との信頼関係を築いてきているからだと自負してます。
■(参院選の取り組み)責任持って政治を進めるため7選挙区完勝、比例7議席を
--参院選の目標は。
公明党の国政進出の原点は、1956年の参院選です。参院で教科書無償配布などの実績を積み重ねて存在感を高め、67年の衆院進出につなげました。
また、参院選の結果は政局への影響が大きい。2007年の参院選では自民、公明の与党が敗北し、09年衆院選での民主党政権誕生につながりました。逆に10年の参院選は民主党が敗北し参院で与党が過半数を割り込み、12年の衆院選で自公が政権を奪還しました。
現下の厳しい国内外の情勢の中、自公連立政権は国民の命と暮らしを守る施策を着実に進めてきました。責任を持って政治を前に進められる政権の枠組みは、現状、今の連立政権の他にありません。
東京都議選のすぐ後に続く参院選での公明党の目標は兵庫、福岡、埼玉、神奈川、愛知、大阪、東京の7選挙区全員当選と、比例区7議席の獲得です。皆さまのご支援にお応えできるよう、総力を挙げてまいります。
--参院選勝利へ党の存在感をどう示していくか。
党の強みである「小さな声を聴く力」を一段と発揮していきます。
具体的には、AI(人工知能)などデジタル技術を活用した政策立案アンケート「We connect」を17日から実施します。内閣府の調査では30代の9割近くが国の政策に民意が反映されていないと回答しています。「We connect」を通じ、これまで拾いきれなかった現役世代の声をキャッチし、参院選の重点政策にまで練り上げていきたいと考えています。
全国各地へ党幹部が出向き、政策や党運営の課題を語り合う「党幹部キャラバン」にも引き続き取り組みます。
■高額療養費、負担上限額の引上げ見送り
■首相に“直談判”、決断促す
高額な治療を受けた患者の自己負担を一定額に抑える「高額療養費制度」。政府は当初、その自己負担の上限額を、8月から段階的に引き上げる方針でしたが、がん患者らから「治療の断念につながる」と懸念の声が上がりました。そこで公明党は1月以降、患者団体との意見交換を重ね、制度の持続性と患者負担への配慮の両面の観点から真剣に検討。政府に対応を働き掛けてきました。
これを受け政府は、年間4回以上、制度を利用すると上限額が下がる「多数回該当」の限度額の据え置きを決めました。その後も、斉藤鉄夫代表が3月5日に石破茂首相へ慎重な対応を求め“直談判”。6日の参院予算委員会で谷合正明参院会長が「多様な国民の声を伺い判断すべきだ」と踏み込んだ対応を迫り、7日に首相が引き上げを見送る方針を表明しました。マスコミは「首相決断 公明代表が促す」(14日付「毎日」)と報じています。