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海外×働く=〝シゴトーク〟 世界を舞台に磨く国際力

2025年4月2日

「海外で働く」ことは、〝リスクがあるのでは?〟〝失敗したらどうしよう……。〟など、不安を感じる人も多くいるはず。そこで、弁護士としてアメリカや中国で働いたほか、経済産業省での勤務時代には国際交渉の仕事に携わってきた矢倉かつお参院議員に海外でのリアルな体験談を語ってもらいました。

ポイント
  • 幼少期の国際的な環境で感じた〝海の向こう〟への憧れ
  • アメリカと中国を渡って感じた苦労と学び
  • 挫折を感じたからこそ見えた「本当の自分」

幼少期の国際的な環境で感じた〝海の向こう〟への憧れ

矢倉克夫参院議員 流「海外×働く=〝シゴトーク〟 世界を舞台に磨く国際力」
矢倉克夫参院議員 流「海外×働く=〝シゴトーク〟 世界を舞台に磨く国際力」

--矢倉議員は国際弁護士としてアメリカで働かれ、さらにはアメリカでの勤務中に中国の復旦大学にも語学留学された経験があると伺いました。

実は、私は神奈川県横浜市の出身ですが、山下公園や中華街の近くということもあり、幼少期から多文化の環境に触れる機会が多かったです。華僑の友人と剣道を習ったり、近所には米軍関係者の家族もいて、外国人の子どもたちと遊ぶこともありました。

--そうした環境が、海外に興味を持つきっかけになったのでしょうか?

そうですね。幼いころからたくさんの触れ合いがあったので、自然と〝海の向こう〟への強い憧れを持つようになりました。

--その後、弁護士としてのキャリアを築かれましたが、海外で働こうと決意されたのはなぜですか?

弁護士の仕事をしていた当時、外国企業や海外のクライアントと関わる機会が増えてきました。その際、日本の法律を深く理解するためには、他国の法律と比較することが不可欠だと気づいたのです。特に、アメリカの法体系(コモンロー)は、日本のそれとは考え方が大きく異なります。そこで、より広い視野を持つために渡米を決断しました。

アメリカと中国を渡って感じた苦労と学び

矢倉克夫参院議員 流「海外×働く=〝シゴトーク〟 世界を舞台に磨く国際力」
矢倉克夫参院議員 流「海外×働く=〝シゴトーク〟 世界を舞台に磨く国際力」

--日本とアメリカの違いで驚いたことはありましたか。

多様性の国と思っていたアメリカが、中絶に対する理解など、道徳や価値観で深刻に対立している現実は驚きを感じました。仕事に関わるところで一番感じたのは「ルールの捉え方」ですね。日本では、法律に対する捉え方はすでに決まっているものをどう解釈し、当てはめるかという発想で動いています。日本の大学では学術書を参考にしながら知識を蓄え、それを実際に適用するというスタイルが一般的です。一方、アメリカではルールは「作り出す」ものという考え方が強いんです。大学の授業でもアメリカは教授が学生にどんどん意見を求め、一つの判例に対してさまざまな議論を重ねます。そのディスカッションの中から、ルールを探り出していく。この発想は新鮮でした。現地で弁護士として関わった仕事も、いわゆるロビイング的な、法制化に向けた働きかけなども多かったですしね。

--ディスカッションを通して議論を深めていくんですね。

はい。自分の考えをしっかり持ち、それを議論の場で伝え、相手と意見を交わすことで新たなルールを「探り出す」という感覚が、学生はじめ皆さんには強かったです。これは、その後、経済産業省に在籍し、様々な国際ルール交渉に関わった時や、政治家としての今の活動にも大いに役に立っています。

--その後、中国にも留学されていますね。なぜ中国を選ばれたのですか?

アメリカ留学中に、中国企業の影響力の大きさを実感しました。2000年代初頭の当時、中国は北京オリンピック前で急成長しており、日本でもビジネスの観点から注目されていましたが、「近い割に中国のこと、あまり知らないな」と思ったのです。それで一念発起、職場に頼み込んで無給でしたが中国に飛び込みました。

--中国での生活はいかがでしたか?

まったくの中国語初心者だったので、タクシーに乗るのも一苦労でしたね。ただ、耳が慣れてくれば漢字の知識がある分、中国語は欧米人より有利ですよ。半年間、とにかく寝ても覚めても中国語漬けの生活を送り、少しは話せるようになりました。最後は、中国でバス事故に遭ってしまったとき、乗客を代表して、私が損害賠償交渉をする(できる)ほどになったのですよ。もちろん、賠償金はしっかりと取りましたが(笑)

--すごいですね!!中国で学んだことも現在の仕事や政治活動にも影響していますか?

間違いなく影響しています。中国では、異なる文化の中で柔軟に対応する力を養いました。社会主義国からくるイメージとは違う、庶民のたくましさを感じ、先入観を持ってはいけないことも学びました。中国人の友人と歴史観などの違いから論争などしつつ、お互いを尊重する大切さも学びました。

特に政治家になってからは、価値観がぶつかる中で合意形成を図らないといけないので、相手とどこに共通点があるのか探る力にもなっています。

挫折を感じたからこそ見えた「本当の自分」

矢倉克夫参院議員 流「海外×働く=〝シゴトーク〟 世界を舞台に磨く国際力」
矢倉克夫参院議員 流「海外×働く=〝シゴトーク〟 世界を舞台に磨く国際力」

--アメリカ、中国と単身で行って孤独は感じませんでしたか。

当然、孤独感はありました、ただ、挫折感といったほうがいいかも。アメリカに行った当初、英語が通じなくて、「こんなところに来なきゃ良かった」と思っていた時期がありました。力不足を痛感して、自分の中の鼻っ柱も何度もへし折られました。でも、だからこそ、自分を見つめ直すこともできた。これまで支えてくれた人たちに、心から感謝の思いを持つことができました。そして、ある日、そんな自分にも無限の可能性があることを実感する機会があり、自分を客観視して「自分は本当は何がやりたいのか」と常に問い続けることができた経験は、私にとって大きな財産になっています。海外に行ったおかげで、より日本のことを好きになれましたしね。

--最後に、これから海外で働いてみたいと考える若い世代へのメッセージをお願いします。

「迷うなら行くべき」です。昔は海外に行くハードルが高かったですが、今はスマホや翻訳ツールのおかげで、挑戦しやすい環境が整っています。海外での経験は、視野を広げるだけでなく、自分自身を成長させる貴重な機会になります。特に若いうちに海外に出ることで、多様な価値観に触れ、新しい可能性を発見できるはずです。

【略歴】1975年生まれ。参院議員2期。党埼玉県本部代表、同税制調査会副会長、同国際局長。日本、米ニューヨーク州で弁護士。前財務副大臣、元農林水産大臣政務官。東京大学卒。

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