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災害対策の司令塔、「防災庁」設置へ/政府が法案を閣議決定
政府は6日、災害対策の司令塔となる「防災庁」の設置関連法案を閣議決定し、国会に提出した。法案の内容や経緯、公明党の取り組みを解説する。
■人員や体制を大幅拡充/事前防災から復興まで対応
法案では、防災に関する施策を円滑かつ迅速に推進できるよう内閣に防災庁を設置し、大規模災害に対処するための企画立案や総合調整を行うと明記。長年指摘されてきた“縦割り行政”を排した防災対策の実現をめざし、「事前防災」の取り組みに加えて災害発生時から復旧・復興まで一貫して対応する。
2026年中をメドに現在の内閣府防災担当を改組し、首相をトップとする組織として設置。実務を担う「防災相」を置く。
庁内の組織体制については、昨年12月発表の「防災立国の推進に向けた基本方針」で▽全体の政策調整を行う「総合政策」▽大規模災害への対処や訓練・人材育成を担う「災害事態対処」▽災害のリスク評価など事前防災を推進する「防災計画」▽被災者支援や防災教育などの「地域防災」--の4部門を置く方針を示している。その上で法案では、他府省庁への勧告権を与え、勧告を受けた府省庁は、それを尊重する義務を負うことが明記されている。
また、政府の中央防災会議や災害対策本部の運営を担うほか、教育や訓練のための「防災大学校」(仮称)の設置検討が法案に盛り込まれた。地方の拠点として、法律の公布から2年以内に「防災局」を設置し、東西に2カ所置かれる見通しだ。
これにより、人員や体制が大幅に拡充される。定員は現在の内閣府防災担当の1・6倍に当たる約350人に増やすほか、関連事業費を増額する。
防災庁の創設は、石破政権下で準備作業が進められてきたが、高市政権発足後も引き継がれ、法案提出に至った。
■公明、一貫して創設を推進
公明党は「防災・減災を政治、社会の主流に」と訴え、防災対策の強化を一貫して主張してきた。
1995年に起きた阪神・淡路大震災の直後には、「日本版FEMA(米連邦緊急事態管理庁)」の創設を緊急提言するなど、災害対応の司令塔の必要性を訴えた。
防災庁創設を巡っては昨年6月、石破茂首相(当時)に対して提言を実施。
災害関連死ゼロを可能とする司令塔をめざし、発災時の迅速な情報共有など“現場とつながる”実効性ある体制や防災の専門家集団をつくる人材育成体制の構築を要望したほか、人工知能(AI)やビッグデータを活用した災害予測精度の向上などを実現する「防災DX(デジタルトランスフォーメーション)」の全国展開を促した。
さらに、避難所の環境改善に向けて、TKB(トイレ・キッチン・ベッド)や被災者が尊厳ある生活を営むための「スフィア基準」の導入促進を提案。被災者一人一人に応じて伴走支援を行う「災害ケースマネジメント」の全国展開を進め、被災者一人一人に寄り添う支援体制の標準化も求めた。
今回の法案については今後、中道改革連合、立憲民主党、公明党の3党で法案審査を行うなど協調して議論を進めていく方針だ。
■国民の行動変容を後押し/党復興・防災部会長 佐々木雅文参院議員
災害大国・日本において防災対策の強化は不可欠であり、「防災庁」の設置によって人員や体制が強化される意義は非常に大きい。
重要なのは、平時からの備えを抜本強化することであり、「事前防災」への取り組みを着実に進めたい。
公明党はインフラ整備による被害の低減に加え、備蓄品の準備や避難所運営の強化など災害発生後の対応の必要性を一貫して訴え、提言を重ねてきた。避難所での環境悪化や身体的負担による「災害関連死」が後を絶たない中、「救えたはずの命」という教訓をどう施策に生かしていくか、防災庁の役割は極めて重い。
また、防災において重要なのが「風化」への対策だ。東日本大震災から15年、阪神・淡路大震災から31年が経過する中、防災に対する国民意識の希薄化も大きな課題だ。国民の意識変革・行動変容を粘り強く促す努力が防災庁には求められており、公明党がしっかり後押ししていきたい。
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