きょうは「手話の日」。昨年6月に施行された、公明党など超党派の議員立法である「手話施策推進法」に基づくものです。そこで、手話が果たす役割や法律制定の意義などについて解説します。また、熊本地震や千葉豪雨など災害が相次いでいることを踏まえ、被災時に聴覚障がい者が直面した課題や、必要な情報の確保に向けた取り組みについて、党千葉・熊本の両県本部の女性議員に聞きました。 ■大切な「言葉」広がる理解の輪 手話は、手や指の動きに加え、顔の表情なども使って情報を伝える一つの言語です。独自の文法と文化を持ち、障害者権利条約においても「音声言語と同等」と定義されています。 「手話の日」は、1951年に世界ろう連盟(WFD)が設立された日に由来し、国連総会でも「手話言語の国際デー」と決議されています。 歴史的には、かつて「口話法」が重視されて手話の使用が事実上禁止・制限された苦難の時代もありました。しかし、当事者が手話を自らの大切な言語として受け継いできた努力により、国内では2011年の改正障害者基本法での「言語」明記や、全国660を超える自治体での「手話言語条例」制定へと広がってきました。 昨年施行された「手話施策推進法」では、手話が重要な意思疎通手段と位置付けられ、9月23日を「手話の日」と規定しました。同法には、手話を使って暮らせる環境整備などが国や自治体の責務として明記されています。手話通訳の拡充や情報発信を進め、誰もが暮らしやすい共生社会の実現へ、理解と関心が深まることが期待されています。 ■学びたい人は? 手話の学び方は多彩です。自治体の障害福祉課などで申し込む「手話講習会」や、気軽に参加できる地域の「手話サークル」のほか、テレビの学習番組、DVD付き書籍でも自分のペースで学べます。自分に合った方法で、まずは身近なところから始めてみませんか。 ■議会質問で手話を交えて/千葉・船橋市 上田美穂議員 19年の初当選後、当事者の思いや文化を理解しようと手話サークルに入りました。関わりを深める中で、聴者には想像もつかない日常の悩みや、行政とのやり取りで抱くもどかしさなど、当事者の苦労や葛藤の深さにハッとさせられました。 ろう者の切実な声を行政や議会へ正確に届ける「橋渡し役」になろうと決意。議会定例会でも事前に準備を重ね、ろう者の方に教えていただきながら手話での質問も行えるようになりました。 また、ろう者の声を一人でも多くの人に届けるため、党派を超えて市議会に声を掛け、ろう者との交流会を主催しました。その結果、50人中37人の議員が参加するなど、良い交流の場となりました。 ろう者の声を聴く中で、これまで救急車内での遠隔手話通訳の導入を実現したほか、公共施設の改修・建設時には、設計段階から当事者の意見を反映させる体制づくりを市に働き掛けています。 災害時、音声情報が届かない聴覚障がい者は深刻な情報格差に晒されます。先の千葉豪雨では、床上浸水の被害を受けたろう者のご夫婦の元へ駆け付けました。「不安に寄り添いたい」との思いで、国会議員とも連携して現地を確認する中、被災時における迅速な情報確保の重要性を痛感しました。 行政と当事者が互いに理解を深め合える潤滑油となり、災害時であっても誰一人取り残されない社会の実現へ、全力を尽くします。 ■皆の思い条例に生かす/熊本・合志市 大塚薫議員 幼なじみの両親がろう者で、そのお二人に身近に接してきた経験から、23年の初当選より、当事者の思いに寄り添う街づくりを心掛けてきました。 合志市で「手話言語条例」の制定に向けた動きが進む中、「自分たちを抜きに決めないでほしい」との切実な声を受け止め、今年7月、ろう者団体と市行政の幹部との意見交換の場をセッティングしました。 席上、団体側からは「音声による防災行政無線が届かない」といった不安の声をはじめ、一箇所に集まって身を守れる福祉避難所の確保や、手話や字幕放送を受信できる専用機器「アイ・ドラゴン4」の配備などの要望が寄せられました。 また、「行政がSNSやホームページで文字情報を配信しても当事者にあまり届いていない」「高齢のろう者は長文の文字を読むのに不安を抱いている」実態なども分かり、丁寧かつ確実に災害情報を届ける大切さを感じました。 これらを踏まえ、9月の一般質問では、聴覚障がい者の協議会参画や、障がいに配慮した学校教育、災害時の支援体制整備など6項目にわたり、市の姿勢をただしました。当日は十数人の当事者や通訳者が傍聴に訪れ、「来年の条例制定が楽しみ」と大きな期待を寄せてくれました。 単に条例を作るだけでなく、ろう者の暮らしや防災体制が具体的に改善されるよう、これからも一人一人の切実な声に徹底して寄り添い、着実に情報を届けられるよう施策の拡充に力を注ぎます。