広島県は今年度、公用車用の燃料調達の契約を、県内8割の中小ガソリンスタンドが加入する石油販売協同組合と、入札によらない随意契約で締結した。これまでは一般競争入札で、最安値の大手1社と契約していた。官公需によって、地域のガソリンスタンドを支え、特に災害時、燃料供給が滞らないようにすることが狙い。公明党の井上謙一郎県議が推進した。 ■災害時の燃料確保へ/供給不安で公明県議が推進 地域のガソリンスタンドは、災害時に救急車や消防車などに燃料を供給する重要な公共インフラ。しかし近年、人口減少や高齢化などに伴う需要減や後継者難などが響き、自治体内にガソリンスタンドが3店以下の“SS(サービスステーション)過疎地”問題が全国的に深刻化している。 経済産業省の調べによると2024年度末時点で、県内のSS過疎地は坂町などの4町。しかし、平成の大合併前の旧86市町村の区域でみると、半数の区域が3店以下になるという(19年、総務省調査)。県は、石油組合が災害時に緊急車両などへの燃料供給を支援する災害協定を結んでいるが、いざという時の供給能力が不安視される状況だ。 こうした事態を打開しようと、県の石油販売関係者は政策的な後押しを求めていた。23年10月に開かれた公明党広島県本部(代表=栗原俊二県議)の政策要望懇談会には、県石油政治連盟の代表が出席。席上、連盟側からは「災害協定を結ぶ石油組合については、総務省から組合員の受注機会が増えるよう随意契約の形をとって良いとの通達があった。ぜひ実現してほしい」との要望があった。 井上県議は即座に、同月の県議会総務委員会で随意契約を提案。競争入札と比べ燃料費が上がる懸念に対しては、「地域のガソリンスタンドを維持できるというメリットが期待できるなら差し支えないと、国も踏み込んで推奨している」と訴え、以来一貫して推進してきた。 今回の契約実現を受け、栗原、井上の両県議はこのほど、広島市安佐南区の有限会社「森川石油店」を訪問。森川宣彦社長は「これから安定して給油に来てくれるようになるのはありがたい。県の車両が来るのが楽しみだ」と喜んでいた。 また、契約相手となった県石油販売協同組合の中須賀武事務局長は、「ガソリンスタンドの廃業は県内でも増えており、地域で1店閉めると、さらに過疎化が進むという悪循環になっている。今回の契約は中小販売業者にとって本当に助かる。英断だ」と感謝した。 井上県議は「地域のガソリンスタンドを守り、災害に強いまちへ、一層の取り組みを進めていきたい」と語っていた。