きょう9月30日は、秋の全国交通安全運動の一環として設けられた「交通事故死ゼロを目指す日」だ。これからの季節は日没が早くなり、夕暮れ時の死亡事故が1年で最も多くなる。中でも、十分に安全を確認せず横断歩道以外の場所を渡るといった“乱横断”による悲劇は後を絶たない。乱横断の実態を探るとともに、その背景や防止策について識者に聞いた。 「危ない!」--。急ブレーキの摩擦音とクラクションが響き渡る。都内のターミナル駅からほど近い、片側2車線の幹線道路での出来事だ。 約30メートル先に横断歩道があるにもかかわらず、リュックを背負った初老の男性が車列の切れ目を縫うように早歩きで道路を横切ろうとした。ドライバーが急停車して事なきを得たが、判断が遅れていれば大惨事だった。 しばらく現場を観察すると、道路を渡りきれずに真ん中で立ち往生してしまう人や、猛スピードで道路を横断する自転車などが散見され、ヒヤリとする場面に度々出くわした。「横断禁止」の標識を気にする様子はなく、多くの人にとって乱横断が常態化している実態がうかがえた。 ■歩行中の犠牲者の6割が違反 乱横断の危険性は警察庁のデータにも顕著に表れている。2025年の歩行中死亡事故のうち、約6割で飛び出しや禁止場所の横断などの法令違反があった。ドライバーからすれば「いるはずのない場所」から突然人が現れるため、十分にスピードを落とせず、命に関わる事故につながりやすいと見られている。 ■日没早まる10月以降は要注意 日没が早まる10月以降は、さらに危険性が高まる。21年から25年の5年間における交通死亡事故を見ると、午後5時台から7時台にかけての夕暮れ時が突出している。この時間帯における自動車と歩行者の死亡事故の8割超は歩行者の横断中に発生しており、このうち約7割は横断歩道以外を渡っていた。 事故の防止へ政府は、歩行者に対して交通ルールの順守や、ドライバーから見えやすくする反射材・ライトの活用を推奨。ドライバーに対しては、横断歩道手前での減速やヘッドライトの早めの点灯、ハイビームの有効活用などを呼び掛けている。 ■長年の習慣が過信生む なぜ、危険な乱横断が絶えないのか。交通心理学の第一人者である帝塚山大学の蓮花一己客員教授は、主な原因として「目的地が目の前にあるのに少し先の横断歩道まで歩くのが面倒という心理や、長年の習慣でこれまで事故に遭わなかったから大丈夫という経験則による過信がある」と指摘する。 ■識者「高齢者は特にリスク高い」 さらに「老若男女を問わずに危険な乱横断だが、中でも高齢者はリスクが高い。加齢に伴い歩行速度が落ちている上、左右の確認も不十分になりやすい」と強調。接近する車の速度や距離を正確に認識する能力も低下しており、若い頃はヒヤリで済んだ出来事が重大な事故につながりかねないという。 乱横断が発生しやすい場所で新たに信号機を設置するのは、予算面や渋滞の誘発懸念から現実的ではない。各地の生活道路で導入が進むのが、横断歩道の路面を10センチほど盛り上げることで進入速度の抑制を促すとともにドライバーから歩行者を見えやすくする「スムーズ横断歩道」だ。 幅の広い道路の横断歩道では、歩行者のボタン操作でライトが点滅し、ドライバーに横断の意思を知らせることで車両の一時停止率を向上させる「閃光型注意喚起施設」の普及に向けた実証実験も進められる。 蓮花客員教授は「交通安全に熱心に取り組んでいる公明党として、今後も現場の危険箇所を洗い出し、住民との対話を重ねながらソフト・ハード両面で対策をリードしてもらいたい」と述べていた。 ■公明党は地域の安全対策を推進 公明党は、地域に根を張る地方議員と国会議員のネットワークを生かして、交通事故の防止と歩行者の安全確保を強力に推進している。 住民から寄せられた「危険な交差点」や「見通しの悪い道路」といった切実な声を即座に行政に届け、横断歩道の整備や路面のカラー舗装、安全ポールの設置など、命を守る対策を各地で実現。交通安全教室の開催や通学路での見守りボランティアにも貢献する。 さらに、生活道路における車の抜け道利用や速度超過を防ぐため、最高速度を時速30キロに制限し、ハンプ(路面の盛り上がり)などを組み合わせる「ゾーン30プラス」の整備拡大なども強力に後押ししている。